カネコアヤノ 日本武道館ワンマンショー2021

「よろしくね〜」

彼女は颯爽と登場してそう言った。

その言葉からアンコールまで21曲ノンストップで演奏は続いた。

私が座った席は注釈付きでステージの真後ろの席だった。席を購入した時はしっかりと観ることはできないだろうと諦めていたが、とんでもない。前から2列目でステージからも近く、普通の席なら観ることができない景色を観ることができた。

カネコアヤノ バンドのメンバーはカネコアヤノ (Vo,Gt)、林宏敏(Gt)、本村拓麿(Ba) 、Bob(Dr)の4人。私はこの4人が大好きだ。4人が奏でる音はもちろん、演奏時の雰囲気、それぞれのメンバーが互いに見せる表情、、、、。今回ステージ後ろから観ることでそのすべてを体感することができた。ほとんどの曲で前の3人がBobさんの方を振り返り集まって目を合わせて楽しそうに演奏していた。その姿があまりにも楽しそうで幸せそうでこちらまで今まで感じたことのない幸せを感じることができた。

そして何よりこの公演で1番幸せを感じた瞬間はラストに披露された『アーケード』だ。それまでは客席の照明は消されてステージのみ暖色の光で照らされており、立ち上がってる観客は一部でほとんどの観客は座って参加していた。しかし『アーケード』が始まった瞬間に客席上部の照明が点灯され、会場全体が明るく照らされたのだ。そしてその直後にまるで演出かのように一斉に観客が立ち上がり、それぞれの感情に爆発させるように動き始めたのだ。ステージの後ろから観ていたのもあるのだろうが、あの光景は本当に凄かった。これ以上ない幸せと興奮が私の中になだれ込んできた。あの光景は一生忘れることはないだろうし、ふとした瞬間に思い出すことはないだろう。あんなに幸せと興奮を一気に感じたことは初めてだった。まだまだ制限の中ではあるけど、同じ場所に集まり、同じ音楽を体感することの幸せをこれでもかと感じて胸がいっぱいになってしまった。

カネコアヤノさんは言ってくれた。「生きて必ずまた会おう」と。この言葉だけでどんなことも乗り越えていけると思わせてくれるくらい強かった。また会いたい。それまでまた生きていこうと思った。

また会えるその日まで。