多数から弾かれる人

私は3人以上で歩くことが苦手だ。なぜなら決まって1人になるからだ。

例えば3人で歩いていると2:1になることがある。これは仕方がないと思える。奇数だからだ。しかし4人で歩いているときも3:1となり1人になってしまう。5人で歩いているときは2:2:1となる。なぜ3:2にならないのか不思議である。しかも私は決まって1の方にいる。会話に参加はしたいが、2と1、3と1の間にはとてつなく高く分厚い壁がある。残念ながらその壁を壊したり飛び越えたりする程のパワーは私にはない。だからそういう状況に陥ったら「気にしていませんよ」「1人で平気ですよ」という顔で周りの景色を楽しんでいるフリをして歩き、たまにたいして聞こえていないのに会話に参加しているふりして笑ってみたりする。そして、見栄を張っている自分に虚しくなる。

でも1人で歩いてるのは嫌ではないし、楽なときもある。なんとも面倒くさい人間である。

ここだけ切り取ると単純に私が会話することが下手だからそういう状況になりやすいと考えられる。もちろんそれも原因としてあるだろう。

しかし思い返してみると複数人で歩いているときだけでなく、列に並んでいるときも同じように多数から弾かれることがある。最初のうちは前の人の真後ろに立って列の中に真っ直ぐ並んでいるが、時間が経ってからふと自分の位置を確認すると私だけ横にずれていることがよくある。前を見ても後ろを見ても私以外は真っ直ぐ並んでいる。

子どもの頃から気づくと多数から弾かれて気づいたら1人になっていることが多くて不思議だった。

この2つの共通点は複数人の人が集まっているという点だ。特に列に並んでいるときに感じるのだが、複数人の人が集まっていると私は圧みたいなものを感じて苦しくなってしまう。満員電車のようにぎゅうぎゅう詰めになっているわけではないが、なにか息苦しさを感じてしまう。そうか、この息苦しさから逃げるために1人になっていたのかと思うとなにか腑に落ちた。もちろん、他にも色々な要因があるとは思うが、自分自身の選択で1人になっていると考えると少しだけ気持ちが楽になった。例え多数:1の1にいつもなってもこれは苦しみから逃れるための防御策だと思えば、見栄を張ることなく堂々と1人で歩いていけると思った。

ただ、やっぱり寂しさは感じるのだろうとも思う。なんとも面倒くさい人間である。